玉突き事故における過失割合について
1 玉突き事故とは
玉突き事故とは3台以上の車両(自動車やバイク等)が追突する事故類型です。
玉突き事故では、事故に関係する車両の台数、当事者が多くなることから、過失割合の評価が一般の事故と比べて複雑になります。
以下では、先頭車両をA、中間車両をB、最後尾車両をC
として過失割合を説明していきます。
2 最後尾車両Cが最初に追突した場合
⑴ 最後尾車両Cが最初に中間車両Bに追突し、Bが押し出され、先頭車両Aに追突した場合、過失割合はA:0%、B:0%、C:100%となります。
⑵ 中間車両Bが急ブレーキを行ったことにより、最後尾車両CがBに追突し、Bが押し出され、先頭車両Aに追突した場合、過失割合は、A:0%、B:30%、C:70%となります。
また、中間車Bが操作ミスを行ったことにより、追突が生じた場合、過失割合は、A:0%、B:20%、C:80%となります。
⑶ 先頭車両Aが急ブレーキを行ったことにより、最後尾車両CがBに追突し、Bが押し出され、Aに追突した場合、過失割合は、A:30%、B:0%、C:70%となります。
3 中間車両Bが最初に追突した場合
中間車両Bが先頭車両Aに追突し、最後尾車両CがBに追突した場合には、AとBの追突事故とBとCの追突事故の2つの追突事故が生じたものと考えられます。
その場合の過失割合は、AとBの関係では、A:0%、B:100%となります。
BとCとの関係では、B:0%、C:100%となります。
Cは、BがAに追突したせいで追突したために、Bに追突することになったようにも思えますが、道路交通法26条では、車間距離を保持する義務が定められており、Cは適切な車間距離を保持していなかったために過失が認められるという判断になることが多いです。
4 過失割合には様々な修正要素が存在する
過失割合を決めるに際しては、上記の事故態様のみではなく、実際の事故態様において過失割合の修正要素があるかどうかも考慮されます。
過失割合の修正要素としては、前方不注視や飲酒運転、時速15km以上の速度超過などが例としてあげられます。
5 玉突き事故に遭った際には弁護士に相談を
上記のとおり、玉突き事故における過失割合の評価は、一般の事故と比べて複雑になります。
また、当事者が3人以上になることから、誰にいくらの損害賠償金を請求するのか、といったことも検討する必要が出てきます。
玉突き事故に遭った際には、弁護士に相談することをお勧めいたします。
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