先に物損の示談を行う場合の注意点
1 過失割合について
⑴ 過失割合が0%であれば特に問題ない
例えば、車同士の事故の場合には、過失が0%になる主なケースとしては、追突、信号無視、センターラインオーバーなどがあります。
⑵ 被害者側にも過失割合が生じてしまう場合
上記のような事故態様でなく、出会い頭の事故であったり、車線変更時の事故の場合、過失割合が0%になるケースはかなり珍しいケースとなることが多いです。
⑶ 先に物損を解決することが多いのが現状
保険会社の担当者は、物件損害担当者(以下、「物損担当者」といいます)と人身損害担当者(以下、「人損担当者」といいます)の2人いることが多いのですが、例えば、物損担当者から、先に、物損の過失割合は、とりあえず、「〇%:△%」でまとめて、詳細は、治療が終わってから人損担当者と決めてくださいと言われるなどして、先に物損の示談をまとめてしまうことも少なくありません。
⑷ 物損解決時の過失割合が人損解決時にも適用される可能性が高い
この場合、もし被害者に有利で、加害者に不利な事情があり、過失割合を被害者に有利に修正できる事情がある場合には、人損担当者と過失割合を決める際に、「物損解決時の過失割合から修正することはできない」と言われてしまうことがあります。
こうなってしまわないためにも、物損解決時の過失割合についての判断は慎重に行う必要があります。
⑸ 過失割合についての見通しを弁護士に相談
過失割合については、基本過失割合から被害者有利に修正できる事情があるケースはそこまで多くはないのですが、だからといって、保険会社の言うがままに過失割合をまとめてしまうのも危険です。
必ず事前に弁護士に相談してから、基本過失割合でまとめても問題なさそうかのチェックを受けておくことをおすすめいたします。
2 物件損害の品目について
物件損害については、物件損害時に全て解決とされます。
物件損害の項目としては、修理代、代車(レンタカー)代、積荷損害、評価損(格落ち損害)、携行品(スマホ、バッグなど)などありますが、これらの項目は、原則として、物件損害の示談時に全部まとめて示談することになります。
そのため、修理代だけ先に示談して、積荷損害だけはまたあとで請求しようとして、資料の提出を怠っていると、修理代の示談時に、免責証書(承諾書)という用紙に、物件損害については、これで全部解決で、これ以降、裁判上でも裁判外でも争わないことを約束させられているのが通常です。
そんなこと知らなかったから、そんな示談は無効だと主張しても、それを覆すことは至難の業です。
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