子どもが交通事故を起こした場合の親の損害賠償責任
1 子どもが成人している場合
成人した子どもが交通事故を起こしてしまった際には、基本的に親が損害賠償責任負うことはありません。
現在成人年齢は18歳となっているため、18歳以上の子どもが交通事故を起こしてしまったとしても、事故を起こした子どものみが一人の大人として損害賠償責任を負うことになります。
2 子どもが未成年の場合
未成年の子どもが交通事故を起こしてしまった際に、親が損害賠償責任を負うか否かは、子どもが責任能力を有するか否かによって決まります。
責任能力とは、物事の善悪を判断し、その判断に従って自分の行動を制御できる能力のことをいいます。
この責任能力は、〇歳以上であれば認められると決まっているわけではなく、実際の子どもの状況等を加味して判断されることになります。
裁判所の傾向的には、12歳前後が責任能力を有するか否かの境界線になっています。
仮に未成年の子どもに責任能力が認められなかった場合には、子どもは損害賠償責任を負わない一方、親は子どもの監護義務を負っているため、監護義務を十分に果たしていたことが証明できなければ、子どもの代わりに親が損害賠償責任を負うことになります。
また、未成年の子どもに責任能力が認められた場合であっても、親の監護義務違反と子どもが起こした交通事故との間に、相当因果関係が認められるときは、親が損害賠償責任を負うことになります。
親が監護義務を果たしていなかった例としては、親が子どもの行動を把握していたのに止めなかった、子どもが他人に対して危害を加える傾向にあったのに教育を行わなかったといったようなものがあります。
3 子どもが事故を起こしてしまったら弁護士に相談を
以上で見たように、子どもが交通事故を起こしてしまった際に親が損害賠償責任を負うかどうかは一概には決まりません。
そのため、子どもに責任能力があるか否か、親が監護義務を果たしていたか否かといった点につき、法的観点から説得的に主張を行う必要があります。
弁護士に相談すれば、過去の裁判例等から適切な主張やアドバイスを受けることができますので、子どもが事故を起こしてしまった際には、弁護士に相談することをお勧めいたします。
先に物損の示談を行う場合の注意点 後遺障害申請の事前認定と被害者請求